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野球肘とはどんな状態?原因と対処法・予防法をご紹介

野球肘 とは

野球をしている児童や生徒、学生さんの中には、肘の痛みに悩まされている方が少なくありません。また、社会人やプロ野球選手の中には、肘の障害のために引退を余儀なくされる方もいらっしゃいます。

こちらの記事では、野球肘とはどんな状態で、どのようなことが原因となって起こるのか詳しく解説しています。野球肘への対処法、および予防法も紹介しているので、長く野球を楽しみたい方は、ぜひお役立てください。

野球肘とは

野球肘は病名という訳ではなく、野球の投球動作にともなってみられる肘の障害全般を、便宜的に野球肘と呼んでいます。痛みが出る場所や症状によって、さまざまな病名が付けられています。

野球肘の種類

野球肘は大きくわけると、肘の内側に痛みが出る「内側側副靭帯損傷(ないそくそくふくじんたいそんしょう)」と、肘の外側に痛みが出る「離断性骨軟骨炎(りだんせいこつなんこつえん)」、肘の後方に痛みが出る「肘関節後方インピンジメント症候群」の3つに分類されます。それぞれの特徴について見ていきましょう。

内側側副靭帯損傷

内側側副靭帯損傷は、野球肘の中でもっとも多く見られる障害です。野球をしている方のおよそ1割から3割に、発症が見られるといったデータもあります。

投球動作にともなう肘の内側の痛みや、肘の不安定感などが内側側副靭帯損傷の主な症状です。とくに投球動作の「コッキング期」および「加速期」に症状が出やすくなっています。

重症化した場合、まれに前腕から小指にかけてのしびれが見られたり、安静時にも痛みを生じたりするケースがあります。

離断性骨軟骨炎

離断性骨軟骨炎は、肘の外側にある「上腕骨小頭(じょうわんこつしょうとう)」と呼ばれる骨にダメージを負うことで発症します。

小学生から中学生にかけて多く見られる野球肘で、初期には何も症状が見られないことから、発見が遅れるケースも珍しくありません。

離断性骨軟骨炎を発症した場合、肘関節の曲げ伸ばしがスムーズにできなくなったり、曲げ伸ばしをする際に引っかかりを感じたりするのが特徴です。また、投球時だけでなく、肘関節を動かしたときに痛みや違和感が生じやすくなります。

肘関節後方インピンジメント症候群

肘関節後方インピンジメント症候群は、高校生以上の年齢に多く見られるタイプの野球肘です。肘の真後ろにある肘頭(ちゅうとう)と呼ばれる場所に筋肉による牽引力が加わったり、肘頭と肘頭窩(ちゅうとうか)が擦れあったりすることで発症します。

投球動作の中では、「リリース期」から「フォロースルー期」にかけて痛みを生じるのが特徴です。また、日常生活においても、肘を伸ばす動作で痛みを生じやすくなります。

野球肘の原因

野球肘のタイプはさまざまですが、発症原因も多岐にわたります。野球肘の主な原因としては、以下のような例が挙げられます。

  • オーバーユース
  • 関節の硬さ
  • 誤った投球フォーム

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

オーバーユース

野球肘の原因としては、オーバーユース(使い過ぎ)が挙げられます。投球動作をおこなった場合、1球ごとに肘関節を構成する骨が引っ張られたり、靭帯にダメージを負ったり、骨同士が擦れあったりします。

適正な投球回数を意識していればよいのですが、投げ過ぎによって回復が追い付かなくなった場合、結果として野球肘を発症するのです。

野球肘は一度だけの外力によって発症するスポーツ外傷(ねんざや脱臼、突き指など)とは異なり、繰り返される外力によってダメージが蓄積し、限界を迎えたときに発症するスポーツ障害に分類されます。そのため、発見が遅れるケースも少なくないのです。

関節の硬さ

野球肘の原因としては、関節の硬さも挙げられます。肘関節が硬い場合はもちろんのこと、肩関節や肩甲骨の可動域が狭いため、結果として肘関節にかかる負担を増大させるケースが少なくありません。

意外に思われるかもしれませんが、股関節の硬さが、野球肘の発症リスクを高めるケースもあります。股関節が硬いと投球時に上体が早く開いてしまい、その結果、肘関節にかかる負担が増してしまうのです。

誤った投球フォーム

誤った投球フォームも、野球肘の発症リスクを高める原因となります。いわゆる「手投げ」をしていたり、肘が下がった「アーム」の状態で投げていたりすると、肘関節にかかる負担が増大するため、野球肘の発症リスクが高くなります。

野球肘への対処法

野球をしているときに肘が痛くなった場合、次のように対処するのがオススメです。

  • RICE処置をおこなう
  • 練習を休む
  • 医療機関を受診する

それぞれについて解説します。

RICE処置をおこなう

野球をしているときに肘が痛くなったら、応急処置をおこなうようにしましょう。代表的な方法が、RICE処置です。RICE処置は、英語の「Rest」「Ice」「Compression」「Elevation」の頭文字が由来となっています。

肘の痛みがある場合はまず安静(Rest)にし、患部を1時間に付き10分から15分アイシング(Ice)します。可能であれば弾性包帯やテーピングなどで患部を圧迫(Compression)し、心臓より高い位置で固定(Elevation)しましょう。

練習を休む

野球肘の発症が疑われる場合、練習はしばらく休むようにしましょう。無理に練習して症状を悪化させた場合、野球をやめざるを得なくなる可能性もあります。

とくに小学生や中学生の場合、練習を休むと試合に出してもらえないからと、痛みを我慢するケースも少なくありません。そのため、異常に気が付いたら親や指導者が「休むのも練習のうち」とアドバイスしてあげることも重要です。

医療機関を受診する

肘の痛みへの応急処置を済ませたら、なるべく早めに医療機関を受診することが重要です。レントゲンやMRIなどの検査をおこない、適切な処置を受ける、必要な期間休養することで、野球を再開することが期待できます。

野球肘の予防法

野球肘を発症するとつらい痛みに悩まされるだけでなく、大好きな野球を楽しむことができなくなります。そのため、日頃から次のようなことに取り組み、野球肘を予防することが重要です。

    • 習慣的にストレッチをおこなう
    • ウォーミングアップとクールダウンを欠かさない
  • 正しい投球フォームを身につける

それぞれについて解説します。

習慣的にストレッチをおこなう

野球肘を予防するためには、日頃から習慣的にストレッチをおこなうことが重要です。練習のときだけでなく、日常的にストレッチをおこなうことで、野球肘の原因となる筋肉や関節の硬さを改善することが期待できます。

ウォーミングアップとクールダウンを欠かさない

野球肘を予防するためには、ウォーミングアップとクールダウンを欠かさないことも必要です。身体が温まっていない状態でいきなり投球をおこなうと、筋肉の牽引力によって肘への負担が増してしまいます。練習や試合の後にはしっかりとクールダウンをおこない、翌日に疲労を残さないようにしましょう。

正しい投球フォームを身につける

正しい投球フォームを身につけることも、野球肘の予防につながります。自己流で投げるのではなく、経験者やコーチなどの指導を仰ぐようにしましょう。

まとめ

野球肘は、ねんざや突き指のように、瞬間的な外力によって発症するケガではありません。ダメージが蓄積した結果として発症するケガなので、発見が遅くなるケースも珍しくないのです。

そのため、肘関節の違和感を覚えたら、なるべく早めに専門家に見てもらうことが重要です。症状が進行した場合、手術が必要となるケースもあるだけでなく、野球を断念せざるを得ない結果となる可能性もあります。

野球にともなう肘の痛みや違和感がある場合は、静岡県浜松市にあるみのり整骨院までご相談ください。みのり整骨院では、筋肉や骨に関するプロフェッショナルが、野球肘のお悩みにもお応えしています。