今までランニングをしていて、膝の外側が痛くなった経験はありませんか?その他、膝痛で疑われる疾患や症状はたくさんありますが、ランナーの膝に関する興味深い調査結果があります。
ランナーの身体を支える商品を提供している会社「ザムスト」が、ランナーの膝の不安と対処法に関する調査をおこないました。するとアンケートで答えた約80%のランナーが、膝になんらかの不安を感じていると答えました。また、痛みや不安を感じる箇所についての1位、が膝の外側でした。
そこで今回、膝の外側の症状が特徴的な腸脛靭帯炎、別名ランナー膝について原因や対処法を解説します。その他、膝の痛みに関わる疾患や症状も紹介します。現在、ランナー膝と診断されて治療中の方、膝の痛みでお困りの方は、こちらの記事を参考にしてください。
ランナー膝とは?
まず、腸脛靭帯炎(ランナー膝)のメカニズムについて説明します。腸脛靭帯とは、お尻の筋肉からすねの骨である脛骨の前外側にある膨らみまでつながっている、大きな靭帯のことを指します。
膝の屈伸を繰り返すことで、腸脛靭帯と大腿骨の外側にある隆起である大腿骨外側上顆が擦れ合うことで摩擦が起こります。摩擦はやがて炎症になり、ランニング時やランニング後に膝の外側が痛くなるのが、腸脛靭帯炎の特徴です。なお、腸脛靭帯炎はランニング動作でよく発症するため「ランナー膝」とも呼ばれています。
ランナー膝の原因
ランナー膝はランニングの場面で発症することが多いですが、その他でも多くの原因があります。主に、次のような原因が挙げられます。
- オーバーユース(使いすぎ)
- 内反膝(O脚)
- 柔軟性の低下
- ウォーミングアップ不足
それぞれの特徴について、確認していきましょう。
オーバーユース(使いすぎ)
ランナー膝は、とくに長距離ランナーのオーバーユース(使いすぎ)に見られるスポーツ障害です。練習量が増えたときや練習の環境が変化する際に、膝周辺にある靭帯や腱に負荷がかかることで発症します。
休息やケアを十分にしておけば重症化することは少ないのですが、そのまま運動を継続した場合は危険です。炎症箇所の回復が間に合わずにさらなるダメージを蓄積してしまい、より強い痛みへと発展していきます。
内反膝(O脚)
ランナー膝の引き金のひとつに、内反膝(O脚)が挙げられます。内反膝の人は日本人に多く、太ももからすねにかけて内側に曲がっているO脚の形をいいます。
内反膝は、膝の外側を走行している腸脛靭帯が大腿骨外側の出っ張りに擦れやすくなるため、ランナー膝になりやすくなります。
柔軟性の低下
身体が硬い人は、常に腸脛靭帯も硬くて伸びにくく、柔軟性が失われた状態です。腸脛靭帯の柔軟性が不足していると、大腿骨の突起を腸脛靭帯がすり抜ける際に擦れる確率が高くなります。膝の曲げ伸ばしを繰り返していると、次第に摩擦抵抗が強まり、ランナー膝を引き起こしてしまいます。
ウォーミングアップ不足
運動不足や体力低下している人が急に運動をはじめた場合も、ランナー膝になりやすいため注意が必要です。運動に慣れていない人は、身体をスムーズに動かすために必要な股関節の外転筋力が弱くなり、腸脛靭帯の柔軟性も失われています。
柔軟性が失われている状態で運動をおこなうと、膝にかかる負担が増えてしまい、ランナー膝のリスクが高まります。
ランナー膝以外の膝痛の疾患
ランナー膝の他にも、ランニングの際に起こりやすい次のような膝の疾患があります。
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- 鵞足炎
- 膝蓋腱炎(ジャンパー膝)
- 変形性膝関節症
それぞれの疾患は痛む場所が異なるため、特徴を整理していきましょう。
鵞足炎(がそくえん)
鵞足炎とは、膝の曲げ伸ばしを過度におこなうことで炎症が起きてしまい、膝の内側に痛みが生じるランニング障害です。鵞足とは、太ももの内側から膝内側にかけて伸びている縫工筋、半腱様筋、薄筋と呼ばれる筋肉が骨にくっつく部位をいいます。
鵞足炎は、膝の内側5-7㎝ほどの場所に痛みがでるのが特徴で、鵞足の部分を押すと、痛みを感じる人は鵞足炎の疑いがあります。
膝蓋腱炎
膝蓋腱炎は、膝蓋骨とすねの骨との間にある膝蓋腱の損傷を繰り返すことで引き起こされるスポーツ障害です。ランニングやジャンプを長時間繰り返すことで発生するため「ジャンパー膝」とも呼ばれています。
多くはバレーボールなどのジャンプ動作やランニングなどの走る動作を繰り返す競技で、起こりやすくなります。膝のお皿のすぐ下辺りに痛みを感じる場合は、膝蓋腱炎の疑いがあるため注意が必要です。
変形性膝関節症
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨が少しずつすり減っていき、膝に痛みが生じる病気です。主な原因は、筋力の衰えや肥満による過度な関節への負担です。また、過度に関節を使うスポーツによる軟骨の摩耗も原因になります。膝の内側や外側に炎症が起きて、鈍痛を感じた場合は変形性膝関節症が疑われます。
ランナー膝の症状
ランナー膝の症状の特徴は、膝の外側にある出っ張った骨の周囲に痛みを感じることです。初期症状は、膝を踏み込んだときやランニングの途中や運動後に痛みが発生しますが、しばらく休むと痛みが消えます。
しかし、症状が悪化すると運動後も継続して痛みを感じるようになり、歩行時や安静時にも膝の外側に痛みがでてしまいます。
ランナー膝の治し方
次に、ランナー膝の治し方について説明します。主に、病院や整骨院などで治療や施術、段階的ストレッチや運動療法をおこなうことで改善していきます。なお、ランナー膝で手術になることは稀で、正しい治療法をおこなっていると、次第に回復することがほとんどです。
しかし、痛みが改善しない場合は他の原因も考えられますので、症状に注意しながら正しい対処法を実践していきましょう。
病院
病院ではレントゲンやMRIによって診断をおこない、局所の冷却や飲み薬、湿布薬の処方などの対応をします。また、症状が強い場合は炎症のある部位に局所麻酔薬やステロイドなどを使用することもあり、難治症例に対しては、手術をおこないます。
整骨院
ランナー膝は、筋肉の疲労や日頃のクセによる間違った使い方が原因で起こることが多いです。そのため、姿勢や身体の動きを確認しながら再発予防に向けて、細かい検査と施術が必要です。
整骨院では、ランナー膝の痛みの緩和をはじめ、身体全体の偏った筋力のバランス調整をおこない、膝にかかる負担を減らします。また、施術とともにランニングなどの運動療法を取り入れていき、早期回復を目指します。
セルフストレッチ
ランナー膝は、大腿筋膜張筋などの股関節外側部に疲労が溜まってしまうため、ストレッチで筋肉の疲労回復を図りましょう。また、ストレッチで腸脛靭帯と大腿骨突起部が擦れるときの摩擦抵抗を低下させて、炎症を改善していきます。
なお、ストレッチはむやみにおこなうと改善を遅らせるばかりか、症状を悪化させる恐れがあります。必ず、整骨院など専門家の指導のもとで、適切な強さと正しい方法を教えてもらいましょう。
ランナー膝の予防法
ランナー膝は、ランニングの際に多く発症することから、走り方やランニングシューズの見直しが予防につながります。専門家の指導のもと、ランニングフォームの改善やクッション性のあるシューズを利用しましょう。
また、スクワットなど太ももの前面にある大腿四頭筋を鍛えて筋力強化をおこなうことも、ランナー膝の予防に効果的です。なお、ランナー膝は地面が固い場所や下り坂の走行の際に起こりやすいです。運動前は、しっかりウォーミングアップをおこないましょう。
まとめ
今回は「ランナー膝の痛みの原因と対処法」について説明しました。ランナー膝は、身体全体のバランスを整える施術と段階的に運動療法をおこなうことで、根本的治療につながります。現在、ランナー膝の痛みを抱えている方や再発するのではないかと心配されている方は、早急に近くの専門家に相談してみましょう。
近くに専門家が見つからない場合やランナー膝の根本的治療が受けられる整骨院をお探しの方は「みのり整骨院」にお越しください。みのり整骨院は、ランナー膝の原因を細かく検査していき、一人ひとりのライフスタイルに合わせた施術をおこないます。
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