肉離れを経験すると、「二度となりたくない」「どうやって気をつければいい?」など、次回以降の予防法が気になるかもしれません。予防法を知るには、まず原因を理解することが大切です。
そこで今回は、肉離れの原因と予防法について解説します。応急処置や治療に関しても解説しているので、肉離れが再発した際の参考にしてみてください。
最後まで目を通すことで、肉離れにならないため日頃から意識すべきこと、肉離れが起きたときの冷静な対処方法などが身につきます。
肉離れとは?
肉離れとは、筋肉に急な負荷がかかったり、連続して収縮したりすることで起こる、筋肉の損傷です。スポーツで身体を動かす際に起こりがちな症状ですが、根本的な原因はそれだけではありません。次項からは、肉離れの原因や起こりやすい部位について解説します。
肉離れの原因
肉離れの主な原因は、次のとおりです。
<肉離れの主な原因>
- 運動不足の状態で、急に筋肉に負荷をかける
- 筋肉に疲労がたまっている
- 筋肉の柔軟性が低下している
- 体内の水分不足
肉離れは、筋肉が急激に引き伸ばされ、耐えきれなくなることで引き起こされる症状です。つまり、「運動不足で筋肉量や柔軟性が足りない」「筋肉に疲労がたまっている」といった場合、肉離れを起こしやすい状態といえます。また、体内が水不足の状態になると、筋肉は緊張状態となり、柔軟性が低下するので注意しましょう。
肉離れが起こりやすい部位
肉離れが起こりやすい部位は、以下の4つです。日頃から肉離れを予防するためにも、気をつけるべき部位を知っておきましょう。
<肉離れが起こりやすい部位>
- ハムストリングス(お尻の付け根から膝の裏側)
- 大腿四頭筋(太ももの前面)
- 内転筋(太ももの内側)
- 腓腹筋(ふくらはぎ)
上記のような下半身の筋肉は身体を支え、スポーツなどでも大きな力が加わりやすい部位です。肉離れが起こりやすいので、身体を動かす際は注意しなければなりません。
肉離れの症状
肉離れが引き起こされた場合、筋肉の損傷部位に痛みが走ります。具体的には、以下のような症状が確認できます。
<肉離れの症状>
- 内出血が起こる
- 痛む部位がへこむ
- 動かしたり体重をかけたりすると痛む
- 筋肉を動かした際にブチッと音がした
上記のような症状が確認できる場合、肉離れの可能性があります。ただし、肉離れにも軽度~重度の段階があり、軽度の場合は歩けてしまいます。
問題なく歩けるからといって軽視せず、身体を動かした後に筋肉が痛む場合は、医療機関や整骨院などを受診しましょう。
肉離れになったときの応急処置(RICE処置)
肉離れになったときは、「RICE処置」という応急処置を覚えておきましょう。RICEは、応急処置における各動作の頭文字をまとめた用語です。具体的な手順を次項から解説します。
R(Rest):安静
肉離れになった際は、まず安静にして症状の悪化を防ぎます。患部が動かないよう、包帯やテーピングなどで固定しましょう。安静にできる場所へ移動する際も、まずは患部の保護を優先してください。
I(Ice):冷却
肉離れを起こした部位は、氷などで冷却して、内出血や痛みを緩和させましょう。アイシングパックや冷却スプレーなども有効です。患部の感覚がなくなってきたら冷却を止め、痛みが出てきたら再度冷却する、この流れを繰り返します。
C(Compression):圧迫
患部を圧迫して、内出血や腫れを防ぎましょう。圧迫といっても強く押し付けるのではなく、テーピングや包帯などで軽く圧迫する程度です。
E(Evaluation):挙上
挙上とは、患部を心臓より高い位置に持っていく処置です。この処置により、患部の内出血や腫れを抑える効果に期待できます。
下半身で肉離れを起こしているのであれば、仰向けになった状態で、低めの椅子や台に脚を乗せましょう。
肉離れの予防法
肉離れを予防するには、筋肉への負荷を減らし、身体を万全の状態にしておくことが大切です。具体的な予防方法を次項から解説します。
十分なウォーミングアップ
スポーツなど身体を動かす際は、入念にウォーミングアップをおこなって筋肉をほぐしておきましょう。「肉離れの原因」でも解説したように、運動不足の筋肉は、急な伸縮で肉離れを起こす恐れがあります。
ウォーミングアップにより筋肉を柔らかくしておけば、伸縮にも耐えやすい状態を作れます。運動後の休息も忘れずにおこない、筋肉への負荷を減らすことへ注力してください。
栄養補給と水分補給
十分な栄養補給と水分補給により、筋肉の損傷を防ぐ効果に期待できます。身体の水分が不足すると、筋肉は脂肪や皮膚と引っ付きやすくなり、伸縮性が損なわれてしまいます。身体を動かす30~60分前には水分補給をおこなって、筋肉が傷つきにくい状態を作りましょう。
また、筋肉を作るための栄養素やエネルギーが不足した場合、筋肉の弾力性が低下するため、肉離れを起こしやすくなります。タンパク質をはじめ、アミノ酸やビタミン類など身体作りに必要な栄養素を補給して、肉離れしにくい身体を作ることが大切です。
睡眠による疲労回復
筋肉の疲労は、肉離れを起こす原因のひとつなので、睡眠による疲労回復も忘れずおこなってください。睡眠中は、筋肉の成長・修復がおこなわれる重要な時間です。
個人差はあるものの、成人の場合は7~9時間程度の睡眠が必要といわれています。翌日に筋肉の疲労を残さず、肉離れしにくい身体を作るためにも、上記の時間を目安に十分な睡眠をとりましょう。
肉離れの治療
肉離れは、整形外科や整骨院などで治療できます。次項では、具体的にどのような治療がおこなわれるのか、どのくらいの治療期間が必要なのか解説します。
整形外科・整骨院での治療について
整形外科と整骨院、それぞれの特徴から治療方法を見ていきましょう。
<整形外科の特徴>
- MRIやCTなどの精密検査が受けられる
- 医師による正式な診断が受けられる
- 症状に合わせた薬を処方してもらえる
<整骨院の特徴>
- 柔道整復師による施術が受けられる
- 症状の緩和や予防などを目的としている
- 施術方法は整骨院によって異なる(手技や鍼灸施術、電気物理療法など)
整形外科は治療、整骨院は症状の緩和・予防が主な目的です。整骨院では医療行為を受けられないため、「痛みがひどい」「原因がわからない」といった場合は、まず整形外科など医療機関を受診しましょう。
肉離れの治療期間
肉離れは、症状の重さによって完治までの治療期間が異なります。軽傷~重症における治療期間は、次のとおりです。
<肉離れの治療期間>
- 軽傷:1~2週間
- 中傷:4週間~2ヶ月
- 重症:2~3ヶ月以上
肉離れにより損傷した筋肉は、炎症期・増殖期・成熟期の3段階で回復していきます。段階的な治療が必要なので、継続的に整形外科や整骨院へ通院しましょう。
まとめ
肉離れは、運動不足・筋力不足といった状態で、筋肉に急な負荷をかけることで起こる症状です。症状によっては歩けないほどの痛みが走る可能性もあるため、「肉離れの予防法」を参考に、日頃から予防しておきましょう。
また、肉離れを起こした場合は、整形外科や整骨院で治療をはじめてください。正式な診断は整形外科など医療機関で受ける必要がありますが、症状緩和・予防であれば、整骨院でも施術を受けられます。
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