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腰全体の痛みで来院されたS様の症例ケース

 

《初回来院》

自宅の重たいテーブルを移動させようとして、持ち上げた際に腰を痛めたようです。
翌日に知人の知っている鍼治療の治療院に受診され鍼治療を受けたところ、痛みが余計に強くなったそうです。
その後、受傷から4日後に別の知人の紹介で当院を受診されました。

受診された際の症状は、腰部痛、前屈痛、伸展痛、側屈痛、座った状態からの起立動作痛、が顕著にみられていました。

問診の際には、いつ、どこで、どのようにして、どうなったか、をしっかりと聞き取りをするのはもちろんのこと、その症状が出る前の腰の状態、ふだんの日常生活での負担のかかり方、適度な運動の有無も聞き取りをいたします。

S様の場合は、テーブルを持ったことが痛みの原因ですが、普段はゴルフをされること、ゴルフ以外の運動はしていないこと、料理が好きでキッチンに立っている時間が長いことから、受傷前から腰部の筋肉が疲れていて柔軟性が乏しくなってしまった状態に、テーブルを持った負担が掛かり症状に至ったと説明しました。

今回の症状は、筋肉に負担が掛かり痛めたものなので、筋肉はどのような組織でどのような働きをするかを、解剖学の図を用いて説明。
筋肉を押さえて痛いかどうかの確認、叩いて痛いかどうかの確認を実施。
共に大丈夫だったのでマッサージはじっしして問題ないと判断。
本来の筋肉の状態に対しての今の状態を説明し、筋肉に柔軟性を出すための治療内容の説明、そこから治療のスタートとなります。

S様の場合、鍼治療で痛みが増した経緯があるので、その場合は炎症が出ていることが多く、炎症を抑えるために最初にアイシングを5分間実施。
その後、干渉型低周波治療器で筋肉を刺激し、柔軟性の改善と血流改善をはかります。

最後にマッサージで筋肉を緩めるのですが、S様の筋肉の状態は、浅層はわずかに柔軟性が残っており刺激に対して気持ちが良い感覚、深層は筋硬結が強く刺激に対していたみが出ておりました。
痛みがある場合は、無理に刺激をするのは避けたほうが良い為、腰以外の腰に関連がある場所からのアプローチに変更、腰部の深部に直接付着している腸腰筋のマッサージ、血流改善を図ることで筋硬結が弛緩する為、ハムストリングを中心に下肢のマッサージを実施。
それにより、深層の刺激に対する痛みが軽減しました。
深層の圧迫による痛みが軽減した為、筋肉にしっかりとアプローチができるようになります。しっかりと筋肉をゆるめることにより、身体の運動の際に起こる筋収縮がしやすい状態になり、運動痛が軽減しました。

ここでのポイントとして、筋肉を弛緩させることの基本は筋肉に収縮を起こすことです。
マッサージにより筋肉を収縮させて柔軟性を出していくのですが、強い痛みを感じると精神的な緊張が生まれ、それにより筋肉が弛緩しにくくなります。
痛みのない状態に導いてから患部にアプローチすることで、より高い治療効果が生まれます。
治療後は、日常生活内での動作痛はだいぶ改善しました。

ただ、痛みがゼロになるところまではいかず、鈍い感覚が残っているようです。
これは、筋肉の硬さが残っている為で、残念ながら長い間を掛けて硬くなったものを1度きりの治療でリセットするのは難しいです。

残った筋肉の硬さをしっかりと取っておかないと、今後ちょっとしたことで痛みが再発しやすい為、今後の何回か継続して通院することをおすすめいたしました。

《2回目以降》

初回の受診をしていただいた、3日後に受診していただきました。

初回治療後の症状を確認したところ、治療後はすごく動作が楽になったとのこと。
朝の起床時のみ痛みが残るようでした。
早速、筋肉の状態を触診して確認したところ、深部の硬さが少し戻っていました。

起床時間が5時頃、受診時間が10時頃、起床時の痛みがなくなってきたのは6時頃のようです。
起床時の痛みについては、寝ている間に身体を動かさずにいることで、状態の悪い筋肉はじわじわと硬さが出てきてしまいます。硬さが出た筋肉を起床動作によりいっきに力を入れるので、痛みが出やすいです。ただ、起床後の生活動作により筋収縮が起こり、血流が改善することで筋肉が緩み、運動痛も軽減してきます。
10時の段階では痛みは強くないものの、硬さが残っているので初回同様に治療をいたしました。
治療後は治療前に比べ、症状は改善し楽な状態でお帰り頂いています。


初回同様の治療を4回受診していただいた頃には、すっかりと痛みもなくなった為、今回の受傷による症状は治癒したと思われます。


治療をしながら、患者様にはアドバイスをさせていただいているのですが、S様の場合はゴルフによる偏った負担により腰に疲れがたまり今回の症状に至っているので
ゴルフ前後のストレッチ指導、普段の入浴などの体を温めることについてのアドバイスを行いました。

ゴルフでからだを動かしてはいるものの、運動不足気味で基礎代謝が低いことが腰の筋疲労回復を低下させているのではないか、全身の状態が基礎代謝に影響するためウォーキングなどの全身運動を取り入れることで、基礎代謝を上げて筋肉の回復力をあげることが重要だとアドバイスさせていただきました。

現在(最初の受傷から3か月後)は、身体のケアとして週に1回の受診をしていただいています。
趣味のゴルフも楽しんでいただき、アドバイスしたウォーキングについても1日30分をしっかりと継続していただいているようです。
全身運動をしっかりと継続することで、身体の調子がすごくいいそうです。

ウォーキングにより5キロ減量できたことが、体が軽くなったと感じていらっしゃるようです。
何よりビジュアル的に痩せられたこともご本人はすごく喜んでいただいております。

ご本人も現在の体の状態を維持することに意欲をもっていただいており、当院としてはS様の健康的な生活をサポート出来ていることに喜びを感じております。