スポーツをしているとさまざまなケガを負う可能性がありますが、アキレス腱のあたりがいつの間にか痛くなってきている場合、アキレス腱炎の発症が疑われます。
軽症であれば自然に治ってしまうケースもあるのですが、重症化すると最悪の場合腱断裂を起こす可能性もあるため、注意が必要です。
こちらの記事では、アキレス腱炎の特徴や原因、症状および対処法についてご紹介しています。アキレス腱のあたりに痛みがある方は、参考にしてみてください。
アキレス腱炎について
アキレス腱炎の症状や対処法について紹介する前に、アキレス腱とはどのようなもので、どんな特徴があるのかについて見ていきましょう。
アキレス腱とは
アキレス腱は、正式名称を踵骨腱(しょうこつけん)といいます。腓腹筋とヒラメ筋で構成される下腿三頭筋が緊張して硬くなると、かかとの骨(踵骨)が引っ張られアキレス腱部に痛みや熱を生じます。
ギリシア神話の英雄であるアキレウスが唯一の弱点であるかかとを弓で射られて死んでしまったことから、この故事にちなんで、アキレス腱という名前が付けられました。
アキレス腱周囲炎との違い
アキレス腱炎と似た疾患に、アキレス腱周囲炎があります。アキレス腱炎は、下腿三頭筋がかかとに付着する場所で炎症を起こすのが特徴です。
アキレス腱は、パラテノンと呼ばれる薄い膜で覆われているのですが、その膜とアキレス腱とが擦れあうことで、一種の腱鞘炎を起こしたものがアキレス腱周囲炎です。
ただし、アキレス腱炎とアキレス腱周囲炎とは、並行して進行するのが一般的です。アキレス腱周囲炎には男女差が見られませんが、アキレス腱はどちらかというと男性に多く見られます。
アキレス腱周囲炎は高校生から社会人まで幅広い層に見られます。一方、アキレス腱炎の方は、スポーツ歴が長いアスリートに多く見られるのが特徴です。
アキレス腱炎の症状
アキレス腱炎を発症した場合、ふくらはぎの下方からアキレス腱にかけて痛みが見られます。また、アキレス腱のあたりに腫れが見られ、抑えると痛みをともなう(圧痛)のが特徴です。
動作の開始時や歩きはじめなどに痛みが強く出ますが、運動を続けていると、次第に痛みが軽減する傾向にあります。
アキレス腱炎の治療法
アキレス腱炎を発症した場合、シップや内服薬などの痛み止めを利用したり、温熱療法をおこなったりするのが一般的です。そのような保存療法でまったく改善が見られない場合、手術療法が検討されることになります。
アキレス腱炎の原因
アキレス腱炎の原因としては、以下のようなことが挙げられます。
- オーバーユース
- 誤ったフォームでの運動
- 足の大きさに合っていない靴
- 足の形状
- 体重増
- 関節の硬さ
それぞれについて解説します。
オーバーユース
アキレス腱炎を起こす最大の原因が、オーバーユース(使い過ぎ)です。ランニングや跳躍をともなう運動を繰り返すと、ふくらはぎの筋緊張によって、アキレス腱に軽微な損傷や断裂が起こります。
通常であれば時間の経過とともに回復へと向かうのですが、運動を繰り返していると損傷や断裂がひどくなり、結果としてアキレス腱部に炎症を起こすのです。
このような反復・継続的な負荷で結果としてケガに至る症例を、専門的にはスポーツ障害と呼んでいます。一方、ねんざや突き指のように瞬間的な外力によってケガをした場合、スポーツ外傷に分類されます。
誤ったフォームでの運動
アキレス腱炎の原因としては、誤ったフォームでの運動も挙げられます。走るときのフォームが左右にブレていたり、ジャンプをするときに衝撃を抑えて着地できていなかったりすると、アキレス腱部への負担が高くなり、結果としてアキレス腱の発症リスクが高くなります。
足の大きさに合っていない靴
足の大きさに合っていない靴も、アキレス腱炎の発症リスクを高めます。とくに足のサイズよりも大きな靴を履いていると、靴の中で足が滑ってしまい、足に余計な力が入ります。その結果、アキレス腱炎を発症するリスクが高くなるのです。
足の形状
アキレス腱炎の原因としては、その人が本来もっている足の形状も挙げられます。アキレス腱炎の発症リスクを高める代表的な足の形状が、偏平足です。偏平足の方は、土踏まずなどにある足底アーチがしっかりと働かないため、アキレス腱にかかる負担が大きくなる傾向にあります。
体重増
アキレス腱の原因としては、体重の増加も挙げられます。アキレス腱部に痛みが出た時期に、急に体重が増えている場合、体重増がアキレス腱を引き起こしている可能性も疑われます。
関節の硬さ
アキレス腱炎の原因としては、関節の硬さも挙げられます。足首の関節(足関節)をはじめ、ショパール関節やリスフラン関節、足の指の関節などが硬いと、地面からの衝撃を吸収する機能が弱まり、アキレス腱部にかかる負担が増してしまいます。
アキレス腱炎への対処法
運動にともなってアキレス腱炎を発症した場合、次のように対処するのが基本です。
安静
運動にともなってアキレス腱部に痛みが見られるようであれば、運動を中止して安静にする必要があります。痛みがあるのに無理をしていては、治るものも治らなくなってしまいます。
アイシング
運動後にアキレス腱部の痛みがある場合、氷嚢やアイスパック、氷水の入ったバケツなどを利用して患部のアイシングをおこないましょう。冷やす時間の目安は、1時間に付き10分から15分程度です。
医療機関を受診
安静やアイシングといった応急的な処置を済ませたら、必ず医療機関を受診しましょう。アキレス腱部が痛む場合、アキレス腱炎以外にも踵骨骨折やアキレス腱断裂といった重篤な疾患を発症している可能性もあります。
自分の判断でアキレス腱炎だと決めつけず、専門医に診察してもらうことが重要です。また、スポーツ障害の一種であるアキレス腱炎は、運動をしている限り自然治癒する可能性が極めて低くなっています。そのため、適切な治療を受ける必要があります。
アキレス腱炎の予防法
いったんアキレス腱炎を発症すると、スポーツが楽しめなくなるだけでなく、日常生活に支障をきたす可能性もあります。そのため、普段から次のようなことを心がけ、アキレス腱炎の発症を予防することが重要です。
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- ふくらはぎをストレッチする
- 疲労を溜め込まない
- 正しい身体の使い方を習得する
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
ふくらはぎをストレッチする
アキレス腱炎を予防するためには、普段からふくらはぎをストレッチしておくのがおすすめです。ふくらはぎの筋肉をストレッチで柔軟に保っておけば、アキレス腱部にかかる負担を軽減することが期待できます。
また、ストレッチによって足関節(足首)の可動域を広げておくと、運動にともなってアキレス腱部にかかる負担を軽減することにもつながります。
疲労を溜め込まない
アキレス腱炎を予防するためには、疲労を溜め込まないことが重要です。アキレス腱炎のようなスポーツ障害は、「ダメージの蓄積>回復力」の状態になると発症リスクが高くなります。
運動をした後にはしっかりとクールダウンをおこない、帰宅したらお風呂で身体を温めるなどして、疲労を溜め込まないよう心がけましょう。
正しい身体の使い方を習得する
正しい身体の使い方を習得することも、アキレス腱炎の予防につながります。アキレス腱部にかかる負担が大きくならないよう、コーチやトレーナーの指導を仰ぎ、正しい身体の使い方を習得することが重要です。
まとめ
アキレス腱炎の初期には、運動をはじめたときに少し傷む程度ですが、症状が進行すると、次第に日常生活の動作でも痛みを生じるようになります。
そのためアキレス腱炎が疑われる場合、なるべく早めに対処することが重要です。かかとのあたりに痛みが生じたら、静岡県浜松市にあるみのり整骨院までご相談ください。
整骨院の柔道整復師は筋肉や腱、骨などの軟部組織のケガに関するプロフェッショナルです。みのり整骨院では、こだわりの手技治療と電気治療を組み合わせ、アキレス腱炎を最短距離で改善に導いています。