交通事故などが原因でむちうちになったとき、「後遺症として慰謝料は請求できる?」「治療費の負担が心配」といった人もいるでしょう。そこで今回は、むちうちは後遺症として認定されるのか、認定の基準や慰謝料について解説します。
認定を受ける際の手続きや注意点についても解説しているので、むちうちになった後の「対処法・動き方」を一通り把握できます。むちうちの基礎知識はもちろん、保険や治療に関する疑問をもつ人は、ぜひ参考にしてみてください。
むちうちとは?
むちうちとは、交通事故などによって首に強い衝撃が加わり、後に起こる痛みやしびれといった症状の総称です。次項から、傷病名や症状、後遺症の意味について見ていきましょう。
むちうちの傷病名と症状
むちうちと呼ばれる傷病名と症状は次のとおりです。
【むちうちの傷病名と症状】
傷病名 |
症状 |
---|---|
頸椎捻挫 |
首の痛みや手のしびれなど |
頸部痛 |
首や肩の痛み |
バレー・ルー症候群 |
頭痛やめまいといった自律神経症状 |
脊髄損傷 |
歩行障害や知覚障害など |
脳脊髄損傷 |
身体の麻痺や運動障害など |
上記のような症状がむちうちに分類されます。交通事故後、数日~数週間後に症状があらわれるケースもあるため、事故後に異常がなかったとしても速やかに医療機関を受診しなければなりません。
後遺症・後遺障害の意味
後遺症とは、治療が終わっても完治には至らない状態です。むちうちは後遺症のひとつにカウントされますが、症状固定(治療が終了した時点)として認められると、治療費(慰謝料)は打ち切られます。
しかし、後遺障害に認定されれば、後遺障害慰謝料を請求できます。後遺障害は治療を続けても回復せず、労働能力の喪失を伴う状態です。
後遺障害は、症状固定の状態で認定されます。症状固定の診断も医師の判断によりおこなわれるため、交通事故などで慰謝料の請求が絡んでいるときは、むちうちの治療を続けて正式な診断が得られるようにしましょう。
むちうちの等級認定と慰謝料
むちうちが後遺症(後遺障害)として認定されると、後遺障害等級に基づいて慰謝料が支払われます。後遺障害等級とは、症状の重さを1~14級で定め、慰謝料の金額を決める基準です。次項から、むちうちで認定される後遺障害等級と慰謝料の目安額について解説します。
むちうちで認定される後遺障害等級
むちうちの場合、12 or 14級の後遺障害等級に認定される可能性があります。等級の数字が大きいほど軽い症状として設定されており、むちうちは後遺障害の中でも軽微な症状として扱われます。むちうちにおける、それぞれの認定基準は次のとおりです。
<12・14級の認定基準>
- 12級:局部に頑固な神経症状を残す
- 14級:局部に神経症状を残す
認定されるには、神経学的検査・医学的所見が必要です。医療機関を受診し、検査の結果から医師に判断してもらいましょう。
むちうちが後遺障害等級に認定された場合の慰謝料
むちうちが後遺障害等級(12・14級)に認定された場合、慰謝料は等級別の自賠責保険基準に従って決められます。具体的な慰謝料額を等級別に見ていきましょう。
<後遺障害等級別の慰謝料>
- 12級:94万円
- 14級:32万円
ただし、交通事故などが原因でむちうちになったとしても、上記のような慰謝料が必ずしも請求できるとは限りません。「手続き+認定基準のクリア」が条件なので、次項で解説する「むちうちで後遺障害等級認定を受けるには? 」にも目を通しておきましょう。
むちうちで後遺障害等級認定を受けるには?
むちうちで後遺障害等級認定を受けるには、書類審査を通過しなければなりません。次項では、手続きのポイントや流れ、注意点などを解説します。
後遺障害等級認定の手続き
後遺障害等級認定の手続きを自分(被害者側)でおこな流れは、次のとおりです。
<手続きの流れ>
- 後遺障害診断書などの書類を用意
- 自賠責保険会社に請求をおこなう
- 保険会社から送られてくる書類に必要事項を記入して送付
- 提出された各書類をもとに専門機関で審査がおこなわれる
- 保険会社に結果が通知される
- 結果を踏まえて等級認定がおこなわれる
- 等級認定の結果を被害者へ通知
認定手続きは何度でもおこなえますが、大切なのは自分の状態を細かく説明できる資料(後遺障害診断書)の用意です。むちうちは症状が見えにくいため、「認定されない」「過小評価される」といったリスクがあります。
医師に後遺障害診断書を作成してもらう際は、以下のポイントを押さえておきましょう。
<資料を用意するポイント>
・後遺障害等級認定に詳しい医師からアドバイスを受ける
・初診から後遺症の可能性を考慮する
自身の病状を正しく伝え、認定をクリアするためにも、上記2点は治療を開始するときから意識しておいてください。
後遺障害等級認定を受ける際の注意点
後遺障害等級認定を受ける際は、以下3つの注意点に気をつけましょう。
<認定を受ける際の注意点>
- 後遺障害等級認定の手続きは相手の保険会社に任せない
- 交通事故などに遭った際は、速やかに医療機関を受診する
- 治療を途中でやめない
認定手続きを相手の保険会社にすべて任せてしまうと、書類のクオリティを自分でチェックできません。不利な状況で審査を受けてしまう恐れがあるので、可能であれば自分で手続きをおこないましょう。
また、むちうちは事故後すぐに症状があらわれるとは限りません。時間が経過して治療をはじめても、事故との因果関係を証明できない可能性があります。
交通事故などに遭った際は、速やかに医療機関を受診して自分の状態をチェックしてください。異常がある場合は、治療を続けて後遺障害等級認定の手続きをおこないましょう。途中で治療をやめてしまうと、審査で不利に働く恐れがあります。
むちうちは整骨院・接骨院でも治療できる?
むちうちは整骨院・接骨院でも治療を続けられます。ただし、すべての治療を整骨院・接骨院で行っていては、「医師の診断を受けていない」と保険会社に判断され、後遺障害等級認定を受けられない恐れがあります。
そのため、普段の治療を整骨院・接骨院でおこない、週に1回以上は整形外科などの医療機関で治療を受けましょう。医師の指示・判断を仰いだ上で整骨院・接骨院に通うのであれば、「認定されない」というリスクを抑えられます。大切なのは、医療機関の医師に整骨院・接骨院での治療が必要だと認めてもらうことです。
まとめ
むちうちは、交通事故などが原因で起きる症状の総称です。後遺症を残さないためにも、首や頭に強い衝撃を受けた際は、必ず医療機関を受診しましょう。
後に異常が発覚した場合、症状の悪化だけでなく、慰謝料の請求も難しくなります。とくに後遺障害等級認定は医師の診断が不可欠なので、後遺症の可能性も考慮しながら治療を続けることが大切です。
また、「どこで治療を受けるべきか判断できない」「後遺障害等級認定の手続きが難しい」といった場合は、ぜひ「みのり整骨院」までお越しください。静岡県浜松市にある当院では、むちうちの治療だけでなく、保険の各種手続き代行、医師との連携などのサービスも用意しています。
各領域のプロフェッショナルと連携しながら症状の完治に努めているので、整形外科や弁護士などの紹介窓口もあります。むちうちの治療を含め、患者様をトータル的にサポートさせていただきます。