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交通事故にともなう高次脳機能障害とは

事故 高次脳機能障害

交通事故の代表例が自動車事故ですが、自動車事故にも後方からの追突事故や出会い頭の衝突、接触事故、正面衝突などさまざまなパターンがあります。

後方からの追突事故の場合はむち打ちなどの外傷を負うことが多いのですが、出会い頭の衝突や正面衝突など、事故によるダメージが脳に加わった場合、高次脳機能障害を発症することがあります。

こちらのページでは、事故にともなう高次脳機能障害の症状の特徴や認定基準、および治療法などについて解説します。

高次機能障害とは

高次脳機能障害は、なんらかの原因によって脳がダメージを受け、これまでにはなかった不調や症状があらわれることを意味します。

若い方に見られる高次脳機能障害は、交通事故にともなうダメージをはじめ、頭部への直接的な外力が原因となって発症するケースが多くなっています。

高齢者に見られる高次脳機能障害の主な原因は、脳の病気です。脳梗塞やクモ膜下出血、脳出血などにともない、高次脳機能障害を発症するケースが多くなっています。

高次脳機能障害にともなう症状

高次脳機能障害を発症した場合、以下のような特徴的な症状を引き起こしやすくなります。

  • 失語症
  • 失認省
  • 失行症
  • 記憶障害
  • 注意障害
  • 遂行機能障害
  • 行動と感情の障害
  • 言葉の理解の障害
  • 半側空間無視
  • 病識欠落

それぞれについて簡単に解説します。

失語症

高次脳機能障害の症状としては、失語症があげられます。耳から聞いた言葉を理解できないだけでなく、紙などに書かれた文章を見ても理解できないケースがあります。

失認症

高次脳機能障害にともなって、失認症を発症するケースもあります。失認症を発症した場合、目で見えているものがなんなのか、理解・判断できなくなるのが特徴です。また、紙などに書かれた文字を読むことも困難となります。

失行症

失行症を発症した場合、それまで使えていた道具などが使えなくなります。たとえば、日常的に使っていたはずのお箸やハサミなどの使い方がわからなくなります。

記憶障害

記憶障害も、高次脳機能障害にともなって多く見られる症状のひとつです。記憶障害を発症した場合、「同じことを繰り返し何度も聞き返す」「ちょっと前に教えたことをすぐに忘れてしまう」「ものをしまった場所が覚えられない」といった症状が見られます。

高次脳機能障害にともなう記憶障害の特徴が、昔のことは記憶しているのに、最近の出来事を忘れてしまうといった点です。

注意障害

記憶障害にともなう特徴的な症状のひとつが、注意障害です。物事に対する感動が薄くなり、常に無表情でぼんやりとしていることが多くなります。また、極端に集中力が低下し、ひとつのことに打ち込むことができなくなります。

遂行機能障害

高次脳機能障害にともなって遂行機能障害を発症した場合、計画を立てて実行に移すことが困難となります。物事の段取りをつけられなくなるだけでなく、実際に行動に移すこともできなくなります。

行動と感情の障害

高次脳機能障害の症状として行動と感情の障害があらわれると、感情をコントロールすることができなくなり、些細なことで感情を爆発させたり、大声で怒鳴ったりするようになります。

言葉の理解の障害

言葉の理解の障害も、高次脳機能障害の症状として多く見られます。単に話している内容を理解できないだけでなく、メモを取るといった簡単なこともできなくなります。

半側空間無視

交通事故などのダメージで右大脳半球損傷を起こした場合、左側半分の空間を認識できなくなり、左側にある壁などの障害物にぶつかるまで気づかなくなります。

病識欠落

高次脳機能障害にともなって上記のような多くの症状があらわれているのにもかかわらず、本人にその事実を指摘しても認めることがありません。このような症状のことを、病識欠落と呼んでいます。

高次脳機能障害の認定基準

高次脳機能障害を発症した場合、日常生活にさまざまな支障をきたすようになります。その原因が高次脳機能障害であると認定されるためには、以下の3つの基準を満たしている必要があります。

  • 1.脳に損傷を負った事実があること
  • 2.現実として傷害が見られること
  • 3.検査による裏付けがあること

それぞれについて解説します。

脳に損傷を負った事実があること

高次脳機能障害として認定されるためには、脳に損傷を負った事実が必要です。高次脳機能障害は、原則として脳へのダメージにともなって発症したことを要件としています。

とくに思い当たる原因もないのに、高次脳機能障害のような症状があるというだけでは、高次脳機能障害と認定されることはありません。具体的な交通事故や、スポーツにともなうケガといった事実が必要となります。

現実として障害が見られること

高次脳機能障害として認定されるためには、現実問題として障害が見られ、それにともなって日常生活に多大な支障をきたしている事実も求められます。とくに重要な点が、身体的な障害ではなく、認知障害が必要とされることです。

検査による裏付けがあること

検査による裏付けがあることも、高次脳機能障害として認定されるために必要な条件です。画像所見では異常が見られない場合、高次脳機能障害として認定されることはありません。検査による裏付けが必要な理由は、高次脳機能障害の原因を客観的に判断できる必要があるからです。

高次脳機能障害の治療法

高次脳機能障害に対しては、現在のところ確立された治療法がありません。そのため、以下のような対処をおこなうことで、本人や家族が少しでも快適に日常生活を営めるよう工夫する必要があります。

症状

対処法

失語症

言葉を思い出しやすいように、ヒントを出したり、絵であらわしたりする

失認症

見た目だけで判断できないようなら声に出して呼びかける

失行症

厳しい口調にならないように注意して、何度でも正しい使い方を教える

記憶障害

口で説明するだけでなく、紙に書いて渡すようにする

注意障害

注意力を保つトレーニングをしたり、環境を整えたりする

遂行機能障害

予定表を紙に書いて渡し、タイマーが鳴ったら実行するよう伝える

行動と感情の障害

感情がコントロールできなくなるような場所・状況から遠ざける

言葉の理解の障害

難しい言葉ではなく、簡単な言葉で伝える・メモを書いて渡す

半側空間無視

左側に症状が見られるときは、左側をサポートするように行動する

病識欠落

上記のような症状が見られた場合、その都度指摘して改善に導く

高次脳機能障害を予防する方法はある?

高次脳機能障害の多くは、偶発的な事故や病気にともなって起こるため、予防することは難しいのが事実です。しかし、高齢者の場合は、脳血管障害にともなって高次脳機能障害を発症することも多いため、普段から次のような点に注意しましょう。

  • 高血圧に気をつける
  • 禁煙に取り組む
  • 脂肪分や塩分の多い食事を避ける
  • アルコールを控える
  • 適度に身体を動かす
  • 体重をコントロールする
  • 定期的に健康診断を受ける


脳血管障害にともなう高次脳機能障害を予防するためには、日常の生活習慣や食習慣の見直しが欠かせないということを覚えておきましょう。

まとめ

高次脳機能障害の多くは、交通事故や病気にともなう脳へのダメージによって起こります。いずれも偶発的に起こるものであり、予防することは難しいのが現実です。ただし、高齢者の場合は、脳血管障害を予防することで、高次脳機能障害のリスクを下げることが期待できます。

交通事故にともなって高次脳機能障害を発症した場合、慰謝料を治療費に充てることが可能です。静岡県浜松市にあるみのり整骨院では、交通事故の治療や、手続きに関するアドバイス、サポートにも力を入れています。

ご家族の方が交通事故に巻き込まれ、高次脳機能障害を発症したような場合は、みのり整骨院までなんでもご相談ください。